最新シアトル住宅トレンド情報 ~マイクロアパート~
シアトルから最新の住宅トレンドをお届け!
今回紹介するのは最近シアトルで建設ラッシュを迎えているマイクロ(超小型)アパートです。
これは外から見ると一見普通のアパートですが、ひと部屋の大きさは 5.6 畳から 10.4 畳で、各部屋にトイレは付いていますがキッチンはアパートの他の住人と共用になっているマイクロアパートです。
(簡易キッチンが室内に備え付けになっている物件もあり)
日本で言うワンルーム物件に当たるスタジオアパートは、一番小さいもので 6.7 畳からと決まっていますが、比較的新しい物件となると平均的な家賃は $1,397 と高額です。それに比べ、マイクロアパートは家賃は平均で $660 とスタジオアパートの約半分です。
このマイクロアパートはダウンタウンシアトルから徒歩 15 分ほどのキャピトルヒルや、ダウンタウン南部のファーストヒル、さらにワシントン大学のあるユニバーシティディストリクトなどの交通機関の発達したエリアに建設が予定されており、ここ数年で 3 倍の数にも増える見込みだそうです。
すでにサンフランシスコやニューヨーク、ボストンなどの大都市ではこのようなトレンドが根付いて来ており、ワンルームなどの狭い部屋をアイデア次第でとても魅力的な部屋にしている記事をよく見かけます。
アメリカの TV で放映されている「Girls」は、ニューヨークに住む 20 代の女性達が主役のコメディ番組ですが、この番組の女性達も小さなアパートでおしゃれに生活しています。建て付けの収納がおしゃれですね。
このようなマイクロアパートが建設ラッシュを迎えている背景には、郊外の大きな家に住んでどこへも車で移動する「自動車依存型」の生活スタイルから、都市中心部に住んで自転車や徒歩で仕事や買い物へ行くという生活スタイルが若い世代を中心に台頭してきいる背景があるのではないでしょうか?
エコに関心の高いシアトルには「Zip Car」というレンタカーシステムがあり、メンバーになれば市内のあちこちの駐車場に停めてある Zip Car をスマホなどのアプリなどで検索・ 予約し、時間単位で借りる事ができます。「Zip Cap」と書かれた看板が目印で、Zip Car を予約した所定の場所で借り、元の場所に返すというだけの便利なシステムです。何か大きな買い物をしたい時は Zip Car を利用し、普段は自転車や徒歩で行動すれば、車の維持費はかからず、常に変動するガソリンに左右されずに生活できます。
一昔前ならイメージの良くなかった共同キッチンも、アパートの住人と仲良くなって一緒に食事をしたりする事が出来れば、都会でひとりで暮らす人達にとって社交の場ともなりますね。昨年のイギリスの研究でも、ひとりで食事をするより誰かと一緒に食事をした方が、特に高齢者には健康面でメリットがあるという結果が出ています。
都会に住むと古くからの地域の繋がりが失われ、その分ネットなどで知らない人と繋がる機会が増え、世界はどんどん小さくなっていますが、世界が小さくなる事で人間関係の新しい問題が出てきています。一方で、その流れを逆に受けてコミュニティのあり方や形が新しくなってきているのも事実です。
日本でも最近はシングルマザー用、年配の方用など特別なシェアハウスもできていて、住民が一緒になって子育てができたり、年配者もにぎやかな生活を送ることができているようです。都会に住む年配者の孤独死という悲しい現実や、先日のベビーシッター幼児殺害事件に見るシングルマザーがゆえに子供を預けれる施設が限られている現状など、古くから人間が生活の基礎としてきたコミュニティの崩壊による社会問題が日々大きくなっている時代だからこそ、小さな住環境と大きなコミュニティを提供できるシェアハウスは、これからの都市型生活の主流スタイルになっていくのではないでしょうか?
どんな場所に住んでいても人間は社会を作って生活していかなくてはなりません。
これからの社会が明るい希望に溢れた社会になって欲しいものですね。